今回は話がそれましてボードゲームの価格とマーケットに関する話をしたいと思います。
とはいえ、私は業界人ではなくただの趣味として楽しむ一般人ですので、話の信ぴょう性はなくただの1個人の雑談としてとらえて頂ければというところです。
https://boardgamegeek.com/blog/1546/blogpost/122099/board-game-price-breakdown
こちらの記事を話のスタートとさせていただきます。
英語が苦手な方のために要約をしますと、英語原作ボードゲームを日本語版(記事内では、正確には現地版)で出版する際にはコストや利益が表のような内訳になると説明がされており、最終小売り価格(店頭での価格)10,000円程度の商品で3,000円くらいが販売業者の取分、1,000円くらいが流通業者取分、1,000円くらいが原作出版社取分、800円がデザイナーの取分が、製造業者取分が1,500円、他広告料や税金で差し引かれ現地出版社の取分は500円ほどとのことです。この取分という記載は、実際には各立場における背景にある出版に係るコストは無視していますので各立場の方々の正確な利益はわからない部分もあります(ある程度は表内や本文に記載がありますが日本でどうなのかは不明なので割愛します)。また、送料は日本の場合は島国ですのでもっと掛かるでしょう。ちなみに、こちらの記事はオリジンファーストビルダーズの話です。日本だと定価7,700円で販売されておりますので少し数値は合わないですが、為替の変動もありますのであまり気にしないでください。
とりあえずこの数値をすべて正しいと仮定すると、どこかの出版社が製造ラインを保有した場合や現地法人を持っている場合で出版社が得られる最終利益を別々に業者を挟んでいる利益と同一にしたと仮定すると、製造業者と現地出版社の取り分を丸々削れるのでざっくり8,000円くらいで小売りに流通させられる計算になるでしょうか。さらに小売りのラインも保有している場合追加のコストダウンが期待されます。実際は最終利益が同一でよいとはならないはずですが、同一業者が管理することで管理コストも効率化されることが予想されるので間違いなく小売価格は下がると予想されます。
こちらの表は2021年のものですので、その後インフレが世界中で進行しており各種コストは上がっているという理解です。各種コストが上昇している中で、生き残りや他社との価格競争力を保つために業界の横(例えば出版社間)だけでなく縦(例えば出版社と製造ライン)の統合や受注や製造の効率化が進むと考えます。
効率化と統合で個人的にわかりやすい代表例がありまして、クラウドファンディングです。
クラウドファンディングは商品の製造前に支援金を受領できるので資金がなくとも始められることが利点ですし、マーケティングを効率化しほぼ受注生産とすることで製造数の最適化も図っているといえます。本来小規模出版社を助ける支援的な立ち位置がクラウドファンディングの出発点ですが、最近は大手出版社もプロジェクトに参加しています。というか、ボードゲーム業界におけるクラウドファンディングほぼ受注生産の様相を呈しているという理解です。
少し話はそれますが、クラウドファンディングプロジェクトのプラットフォームであるGamefoundを運営しているAwaken Realms(ネメシスシリーズやブルゴーニュの城スペシャルエディションを出版している会社と説明したほうが分かりやすいでしょうか)はこの利点を最大限利用しているといえます。さらに、彼らはクラウドファンディング利用者がプラットフォームであるGamefoundへ支払う10%のコストを払う必要がありませんのでその分非常にコストパフォーマンスの良い製品を製造し、非常に高い評価を得ています。ネメシスシリーズ最新作のNemesis Retaliationが10億円を超える支援額を集めたのは記憶に新しいです。
Awaken Realmsの製品はプレイ時間の長い、所謂重ゲーが中心ですが、是非購入をご検討いただければと思います。損はしません(保証はしませんが。。)。
こういった業界の縦や横の統合は効率性が上がることでコストが下がり、消費者を含めた全員にメリットがありそうに思えますが、実際にメリットがあるのは統合に関与した方々だけです。統合による巨大企業の誕生は、他社の競争力が相対的に低下することにつながり、他社も統合を目指したり事業からの撤退を考えることになります。
すると、業界が寡占状態になりますので他社を意識しての価格競争が減りますし、出版社が減るということはゲームの多様性が失われることにもつながると考えます。これらは、消費者にとってはうれしいことではありません。
じゃあ消費者としてどうするの?というところですが、これはマーケットを広げるしかありません。小規模事業者が利益を出せるようなマーケットにすることです。前述のクラウドファンディングは小規模事業者救済のように見えて、実際は大元(Awaken Realms)や大量印刷によりクラウドファンディングが占める費用の割合を減らせるような大規模生産ができる大手出版社の方が利益を享受できる構造のため解決には繋がらないと考えます。
ボドゲーマやBoothのような自費出版を取り扱う販売経路を増やし、誰でも手に取れるようにすることで新規の参入障壁を下げる。ゲームマーケットのようなイベントでは、小規模事業者は利益がしっかりと出せるような価格付けをしていただき、消費者はそれを容認していく。という流れが重要だと考えます。
とはいえ、大規模事業者が有利な点はどんな業界でも変わらないので、消費者としての我々ボドゲーマーは良い作品はきっちりと評価して適切な対価を支払うことで業界の裾野を広げていくということで地道に貢献していけば良いのではないでしょうか?私は大手出版社よりになってしまってはおりますが、たくさん業界には貢献しております笑もちろん業界のピラミッドを大きくするには、大手出版社の成長も欠かせないことを申し添えておきます。
よいボドゲライフを。
よし
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