【ルール】アンコンシャスマインド

日本語版がアークライトさんから出ているアンコンシャスマインド(Unconscious Mind)に関しましてルール紹介をします。アクションの連動を目指して、成功したときはドーパミンがドバドバでる類のゲームです。

当方はKickstarterの支援品であるDeluxe Editionの英語版を保有しておりまして、日本語版とは用語が異なる可能性がございますがご容赦ください。 拡張に関しては別途まとめたく考えています。

外箱と内部(Collector's editionとNightmare Expansion込)外箱はホロフォイルなのでうまく写真がとれず…




背景

ルールブックによると「オーストリアのフロイトは精神分析を確立した。アンコンシャスマインド(無意識)の研究である。 彼の研究の支持者たちは毎週水曜日にフロイトのアパートに集まり、 心理学や夢について語り合った。このグルー プは、世界的な精神分析運動の始まりである「水曜会」と呼ばれのちの心理学の発展に貢献した。」とのこと。

また、「プレーヤーはこのグループのメンバーとして、新しい治療技術を確立したりして、治療に来る顧客を増やすことを目指します。これを達成するために、仲間との議論を経て、理論を論文という形で発表する必要があります。そして活力を保つためには、多量のコーヒーが必要になるでしょう」とのコメントから始まります。本作はこのあたりの背景がよくゲームに落とし込まれているなと感じました。

コンポーネント

一点最初に特筆させてください。コンポーネントのクオリティが非常に高いのです。当方はDeluxeエディションですが、リテール版でも同様のクオリティであることが想像され、価格を考慮すると非常に満足度が高いです。Kickstarter支援者特典の出版社専売品の品も魅力的であり、Fantasia Gamesのクラウドファンディングプロジェクトはお勧めしたいと感じさせる内容です。

シティマップ

 ウィーンの街並みと建物が表現され、3区画に分かれています。自身のワーカーやフロイトワーカーを各種効果の実行に伴い移動させて、対応するアクションを実行します。


ミーティングテーブル

 プレイヤー達がアイデアを述べるテーブルです。アイデアトークンを置いてアクションを実行します。早取り要素有。


プレイヤーボード

 ノートタイルとインクポットを用いたエンジンビルドです。


インサイトダイアル

 資源をコネコネします。


患者カードと悲嘆レイヤーと直販専売品(Kickstarter特典)


 写真にはありませんが、患者カードは定期的な患者と事例研究の患者の2種類の患者カードに分けられます。時代背景は不明ですがそれぞれ1900-1903と1904-1907の年数記載があり、イメージとしては精神分析による治療のテスト段階と発展段階の顧客というイメージでしょうか。治療難易度や報酬に違いがあり事例研究の顧客は勝利点によった報酬が得られます。



それではルール説明です。

全体像

・ラウンドに規定数はありません。またラウンドの定義もありません。
 シティマップ上部の評判トラックのフロイト評判マーカーが指定の位置に到達することでゲームは終了に向かいます。指定の位置に到達した際のアクション+1アクションを全員が同一の手番数になるように行い、最終得点計算へと移行します。
・評判を得る手段は大きく分けて4つあります。
 7つあるロケーション目標
 マップボード中央部の3箇所に積まれる地区トークン最上部3個(各山に一個)
 マップボードに3か所ある区画ボーナスの数値6のボーナスを得る
 プレイヤーボードのノート設置スペース9か所を埋める
・基本アクションは以下3種類、各プレーヤー1アクションずつ行います。各アクション詳細は後述します。
 ①アイデアを述べる、②アイデアを想起する、③患者を治療する
・資源はアイデア、気の利いたアイデア、コーヒー、洞察力、ハート箱です。珍しいですね。
・ロケーションゴールという全体共通の目標が存在します。条件を満たすと即座に評判とロケーションタグを得ることができます。プレイの方向性が分からない際に指標になることでしょう。ロケーションタグは保有数が多いと効果が高いアクションができたり最終得点が得られます。
・勝利点が最大のプレーヤーが勝利します。勝利点は以下から獲得できます。
 患者カードと悲嘆レイヤーのハート合計(数が多く治療難易度が高いと治療前に得点有)
 カタルシス(後述)に至り取り除かれた悲嘆レイヤー
 治療した患者カード
 悲嘆レイヤーを取り除いた事例研究患者カード
 プレイヤーボードのノート配置が完成した横列数
 プレーヤーカラー洞察力が配置されたシティマップ区画数
 手元にあるロケーションタグの種類数
 ハート箱、終了時に残ったコーヒーと気の利いたアイデア


アクション

こちらではアクションを詳しく説明します。

①アイデアを述べる

 ミーティングテーブルに手元から最大2つのアイデアを置きます。この時アイデアが置けるのは空白のスペース1か所のみです(2つの場合は同一スペースに重ねます)。アイデアが向いている向きにあるタイルに書いてある内容を実行(2つのアイデアを使用する場合同一タイルを2回実行、タイル内のアクションは任意のアクションを選択)しますが、自分のアイデアがすでに向いているタイルは実行できません(他のプレーヤーはできます)。そして、プレイヤーボード上のインクポットを移動します。移動量はアイデアを置いた行の一番右を参照します。本アクションではアイデアの代わりに気の利いたアイデアを利用することができます。気の利いたアイデアはミーティングテーブルに残らずストックに戻します。

 また、インクポットが移動によって到達した箇所によって追加の効果があります。

 最上段では、プレイヤーボードの列(縦)を選び配置されているノートの効果を実行します。初期は各列にアイデアが配置されており、インクポットが1周するごとに左から取り除かれ、最上段でインクポットの移動が終了するたびにアイデアが取り除かれている任意の1列を選ぶことができます。対応する列の下端のプレイヤーカラーの洞察力を取り除いている場合新規に洞察力を生み出すことができます。

 その下の3段では行(横)に配置されているノートの効果を実行します。一番左のノートとインクポットの間の洞察力を生み出す効果の実行を忘れないようにしてください。こちらも列(縦)同様に対応する行の右端にあるプレイヤーカラーの洞察力を取り除いている場合新規に洞察力を生み出すことができます。これらのノートの効果の実行は任意の順番で行うことができます。

 左にあるスペースでは、評判トラックを起動します。評判トラックに関しては後段の細かいルールをご覧ください

②アイデアを想起する

 ミーティングテーブル上で自身のアイデアが置いてあるスペースの数を数えコーヒーを得ます。その後ミーティングテーブル上のアイデアを全てプレイヤーボードへ移動します。

 次に、シティマップ上の区画ボーナスもしくはロケーションボーナスを得ることができます。以下の条件に従います。

 プレイヤーのワーカーもしくはフロイトのワーカーがいるロケーションを選びます。そのロケーションの区画にある地区トークンを取りロケーションボーナススロットの空いているスペースに置き、スペースに記載のボーナスを実行します。

 もしくは、プレイエリア(手元)に選んだ区画の色と同一の色のロケーションタグが何個あるか数えます。空いているボーナススロット以上の上部にある数字以上のロケーションタグを持っていればプレーヤーカラーの洞察力をインサイトダイアルから取り上部にある数字の上に置きます。その後地区トークンを取りそのスロットにおいてボーナスを実行します。こちらのアクションはプレイヤーカラー洞察力が必要になりますが、ゲーム終了時に洞察力が置いてある区画数によって勝利点が得られます。

 

③患者を治療する

 患者は任意の順で治療することができます。治療の際には以下の手順に従います。

分かりやすくするためにルールブックの説明を借用したいところですが、著作権の問題がありますので文章で説明します。手元に現物をご用意ください…。 

 まず、患者を治療する際に用いる夢には潜在夢と顕在夢があるという考えのもと、患者をオフィスルームに配置する際のセットアップで潜在夢カードと顕在夢カードを後者を上にして重ねます。明確に自覚できる問題とその奥の深層心理というイメージでしょうか。最上部の夢カード左下部にある洞察力をコストにして右下の効果を実行します。ここで勝利点や治療に使う治療ポイントを得ます。治療時に夢カード右上部と患者に悲嘆レイヤーがあり、そのカード右上部のマークが一致する際にはハート箱を1つ得ることを忘れないでください。

 次に、治療ポイントを元に患者の治療マーカーを左(0に向かって)に移動させます。マーカーがVPの記載へ到達・または記載を通過した場合直ちにVPを獲得し、カタルシスマーク(光ったオレンジ色のハート)へ到達・または記載を通過した場合カタルシスを行い(以下を参照)患者の悲嘆レイヤーを取り除きます。最も左のスペースに移動させた場合は患者は治療済となります。余剰の治療ポイントはハート箱に変換されます。

 最後に患者の治療に使用した夢カードを捨て札にします。


カタルシスと治療済

 Wikipediaによるとカタルシスとは「哲学および心理学において自身の本当の感情を開放することによって得られる精神の浄化を意味する」とのこと。要は精神の治療ですね。悲嘆レイヤーを取り除き記載されているVPと悲嘆レイヤーに記載の効果(左上に記載)を実行します。その後、患者カードに記載のある永続効果やロケーションタグ(患者カード下部に記載)を得ます。各プレイヤーがゲームで最初のカタルシスを行った際に第2のオフィスルームを開放しターン終了時に患者カードを追加でオフィスルームに移動します。

 治療済の患者カードは追加でVPを得ます。患者カードを取り除きプレイエリア(手元)に移動させ表向きのままにします。この時未使用と夢があれば捨て札にします。そしてターン終了時に追加の患者カードをオフィスルームに移動します。



上記アクションを実行したのちハート箱を使用して患者の治療をすることもでき、カタルシスに至ったり治療済にすることができます。空いた部屋には患者を移動します。ハート箱は1つにつき患者カード1枚の治療をします。複数個使用し、複数の患者カードの治療へ使用することも可能です。



ミーティングテーブルタイルのアクションで特筆すべきもの

論文の発表

 プレイ済の研究カードと必要に応じて他プレイヤーの論文を引用して論文を発表します。(アイコンがある場合)出版する論文の一番左端の色と一致する自身のプレイ済の研究カードを選びます。その後、論文の残りの色をすでに他プレイヤーによって出版された論文か自身がプレイ済の研究カードを利用(引用)して満たします。つまり自身が出版した論文と他プレイヤーがプレイした研究カードは論文の出版には利用(引用)できません。他プレイヤーの論文は右側から参照し、連続して色が一致する場合は複数の色を1本の論文から引用できます。他プレイヤーに論文を引用されたプレイヤーは利用された色の数毎に2勝利点と気の利いたアイデアを1つ獲得します。

最後に出版した論文にインサイトダイアルからプレイヤーカラー洞察力を配置します。プレイヤーカラー洞察力がインサイトダイアルにない場合は論文を発表できません。

シティマップにでの移動

 自身のワーカーもしくはフロイトワーカーを移動させます。その後移動先のワーカーの数か移動先の区画の色を持つプレイエリアのタグの数のどちらかを選んで対応するアクションから任意に選んで実行することができます。ただしアクション数は最大5回となります。


フリーアクション

 フリーアクションといいますか、プレーヤーは各アクションで資源の交換が複数回可能です。プレーヤーボードの左下にまとめがあり、気の利いたアイデア1つにつきインクポットの移動の1増減(ただし0以下にはならない)、コーヒー1つにつきインサイトダイアルの低レベルへの1移動の無効化、コーヒー2つにつきインサイトダイアルで高レベルへの1移動ないしは同レベルの別状態へ移動、コーヒー3つにつきアイデアの獲得ができます。

 また、高中低の洞察力3つセットをハートの箱に変換できます(中、低はそれぞれ指定のレベル以上の洞察力であれば変換に利用できます)。ハート箱は2勝利点に変換できます。


細かいルール

 プレイヤーカラーの洞察力だけが論文やシティマップに置くことができます。

 洞察力レベルの上昇では中央の洞察力を移動できない(低下では中央に移動可)。洞察力を生み出すことによってのみ中央の洞察力は移動できる。また洞察力を生み出した際に中央に洞察力がない場合はすでに特徴を持っている洞察力を取り除き中央にあったものとして移動することができる。

 評判トラックが1もしくは2番目に進んだプレイヤーは治療済の患者と論文から追加の2もしくは1勝利点を得ます。 

 評判トラックの起動時は、現在フロイトの評価点がある個所から0までの資源を得ることができます。自身が得られる勝利点と資源は自身の評価点マーカーが置いてあるゾーンに記載があるもののみです。

 治療ポイントは患者カードを治療する時に夢カードから得るか、アクション終了後にハート箱を使用することでしか得られません。

 ハート箱の利用は複数の患者カードに利用することが可能です。

 ミーティングテーブルのタイルは歯車の数×アイデアの数(最大2)までタイルの内容を実行できます。スラッシュ(/)で仕切られているアクションはどちらでも選択できますが、アイデア事に1種類しか選択できません。

 アイデアを述べるアクションで、アイデアを2個使用してもインクポットの移動はミーティングテーブル上のアイコン数です。2倍されることはありません。

 シティマップの移動後にアクションを実行する回数を気の利いたアイデア1個ごとに2回増やすことができます。ただし、1アクションで5回までの実行という上限は変わらないので注意が必要です。


アンコンシャスマインド最大の特徴

 これはインサイトダイアルと悲嘆レイヤーでしょう。複数の資源を1つのダイアルとトークンで表すことに成功しています。このダイアル上での洞察力の変換が各プレイヤーのリソースマネジメントの腕の見せ所となっています。また、患者カードと悲嘆レイヤーをランダムに組み合わせることでリプレイアビリティを向上させるとともに患者を治療するという世界観をゲームに落とし込むことに成功しています。



プレイ人数、複雑さ

 BGGでは執筆時2人か3人がベストなプレイ人数となっています。4人ではお勧めしないとの票が増えますので、ダウンタイムの兼ね合いから2人か3人ということなのでしょう。違いは初期資源に加え、使用するノートの数と会議テーブルでアイデアのおける箇所が制限されるくらいでプレイ感に大きな差はありません。他プレーヤーとのインタラクションは弱めで、ミーティングテーブルの早取りと、論文の引用があるのと、シティマップでの移動くらいで、プレイ感に大きな影響は与えている感じはなかったので私も2人か3人のプレイをお勧めします。

 なお、2人ではよりワーカースペースが減り、生産アクションと収穫アクションが1ラウンド1回の早取りによる実行となりアクション重要度が減ったり先取りにより戦略が大きく狂うためベスト人数になっていないと思われます。

 また、ユーザー投票による複雑度は3.92/5となっています。また、スコアは8.0で非常に高評価です。
https://boardgamegeek.com/boardgame/329500/unconscious-mind


よし



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